診療報酬改定による生活習慣病算定の変化をわかりやすく解説

2024年4月に行われた診療報酬改定は、医療・介護・障害福祉サービスの3つの分野で実施されました。今回は、この改定が医療機関に与える影響について解説します。
主な改定内容
医療DXの推進と情報連携の評価
- 評価項目の追加:医療機関間や医療・介護間の情報連携を推進するために、医療DX に対応する体制(電子処方箋及び電子カルテ情報共有サービス等)を確保している場合の評価を新設
- 医療DX推進の評価:ICTを活用した業務の効率化・合理化がより評価の対象に(例:カンファレンスのビデオ通話実施など)
医療従事者の働き方改革への対応
- 夜間看護配置の評価見直し:緊急の夜間対応ができる体制を整えている事業所が算定できる加算である夜間看護加算の見直し(50点/日)の実施
- 看護補助者の活用促進:看護補助体制充実加算の新設(55点)など、院内研修等のスタッフ教育体制の整備が評価の対象に
このように、医療DXにおける評価と医療従事者の働き方改革が重点的に行われています。
生活習慣病における算定方法の変更
上記「主な改定内容」のほかに注目すべき点として、生活習慣病の算定方法が変更になったことが挙げられます。
従来、「特定疾患療養管理料」の対象疾患とされていました高血圧症、脂質異常症、糖尿病は、今回の改定により、特定疾患療養管理料の対象から外れました。
したがって、これらの生活習慣病を主病とする場合に算定する管理料は、「生活習慣病管理料」に一本化されました。
生活習慣病管理料の算定要件の一つとして療養計画書の作成が挙げられます。
生活習慣病管理料の内容
- 療養計画書の作成:個別の目標設定と、血圧、体重、食事、運動等の具体的な指導内容を記載
- 患者の同意が必須に:初回のみ療養計画書への患者の署名(サイン)が必要
- 定期的に療養計画書を交付:4か月ごとに交付(署名は不要)
- 点数の新設:診療所での生活習慣病管理料IIの点数は333点に設定
このように、生活習慣病管理科に一本化されたことで、医療機関の生活習慣病の管理に関する評価が見直され、より総合的な指導体制が求められることとなりました
具体的な影響とその対策
生活習慣病が特定疾患療養管理料の対象から外れ、生活習慣病管理料に一本化された影響は以下の通りです。
医療機関への影響
- 総合的な指導が必要に:生活習慣病患者に対して、より総合的な生活習慣改善指導を提供
- 業務負担の増加:療養計画書の作成や定期的な交付の義務による、通常業務の増加
- 新たな手続きの発生:初回時の療養計画書への患者の署名等、新たな手続きの発生
患者への影響
- 患者負担額は変わらない:従来の特定疾患療養管理料と比べ、自己負担額はほぼ変化なし
- 生活習慣改善指導の改良:より質の高い生活習慣改善指導を享受可能
- 指導方針と内容の確認が可能:療養計画書を通じて、自身の目標と具体的な指導内容の確認可能
- 新たな手続きの発生:初回に療養計画書への署名を求められるなど、新たな手続きの発生
つまり、医療機関側には業務負担が増えるが、患者側にはより良質な指導が受けられるようになったといえます。ただし、療養計画書作成などの新たな手続きが双方に発生する点には注意が必要であり、医療機関の対応が求められるでしょう。
療養計画書をPDFで無料提供
2024年度診療報酬改定にて、療養計画書の記載が必要になりました。
そこで、厚生労働省から出されている療養計画書を元に、PDFに直接入力可能な様式を用意しました。無料でダウンロードいただけますので、この機会にぜひご利用ください。
ダウンロード方法は以下の通りです
- ダウンロードはこちらをクリックしてください
- ダウンロードページが表示されます
- 必要な情報を入力し、「ダウンロードする」をクリックしてください
- フォーム送信完了画面で、「ダウンロード」をクリック
結論
診療報酬の改定に伴い、生活習慣病患者にとってより良い指導が受けられる体制が整備されたと言えます。一方で、医療機関の負担増加が見られ、各クリニックのオペレーションの最適化が急務になるでしょう。特に、療養計画書の作成や定期的な交付、新たな手続きの発生に対応するための効率化が求められます。
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